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子ども達が宮崎駿監督作品『風立ちぬ』を鑑賞!でも、私が好きなアニメは・・・・

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子ども達が宮崎駿監督作品『風立ちぬ』を鑑賞!でも、私が好きなアニメは・・・・
 
先日仕事から帰宅すると、子ども達が
「今日、映画風立ちぬ』を見てきたよ
と、報告してくれました。
 
以前にチケットは前売りで購入しており、家族で見に行く機会があったのですが、私がそれほど興味がなかったので、その時は見送ったのでした。
 
チケットが無駄になってもいけないので、私の変わりに母を連れて、見に行ってきたようです。
 
「どう、面白かった?」
 
感想を聞くと、人によってまちまち。
母は感動していたようですが、妻と長女は
「まあまあ面白かった」
という程度。
 
幼稚園児の次女にいたっては、
「ぜんぜん面白くなかった」
とのこと。
 
「ふ~ん。そうか・・・」
 
私はそう応えながら、心の中で
「もし自分が見に行ってたら、つまらなかっただろうな」
と、つぶやいていました。
 
★ ★ ★
 
いつも前評判が高い宮崎映画。
 
今回の風立ちぬ』も、宮崎映画の最高傑作と噂され、劇場公開前から、各界から絶賛の声が寄せられていました。
 
しかし私は「なぜ、これほど話題になるのだろう?」と、いつも不思議に思っていました。
 
率直にいえば、私は宮崎映画をそれほど面白いとは思わないのです。
 
★ ★ ★
 
映画の好みは人それぞれですが、私にとって宮崎映画の印象を著しく悪くしているのが、「声優の下手さ」です。
 
宮崎映画では、声優を本業としている人以外の人も、かなり積極的に声優として採用しています。
 
そのためか
「なんじゃこの棒読みは!!」
「まったくキャラクターのイメージと、合っていない!」
と、感じることが少なくありません。
 
特に『となりのトトロ』に登場したお父さん、草壁達男の声は、あまりの棒読みに、ズッコケてしまいました。
 
話題性を狙っているのか、タレントを使えばいいというものでなないでしょう。
 
せっかくのシーンも、感情のこもっていないセリフのせいで、台無しと感じることも多く、宮崎映画の声優起用の基準が、まったく理解不能です。
 
もっと、キャラクターやストーリーを重視した声優のキャスティングを、望みたいものです。
 
★ ★ ★
 
また、私がそれほど宮崎映画に傾倒しない決定的な理由は、「ストーリーの浅さ」にあります。
 
千と千尋の神隠』は、宮崎映画の中で私が一番好きな作品で、あの不思議な世界と、テンポよく進む展開は、とても面白く感じました。
 
しかし、面白かったものの、今一歩の充実感がありません。
 
ただ単に面白かっただけで、そこになにかしら、人間としての奥深い「哲学」や「思想」、または、どうしても訴えたい「メッセージ」などを、あまり感じないのです。
 
確かに『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』など、メッセージ性がある作品もあるのですが、宮崎映画全体としては、ストーリーには奥深いものが欠けています。
 
要するに、宮崎映画の魅力はストーリーではなく、卓越した映像センスであって、心に残るのは、映画の中の「セリフ」ではなく「映像のシーン」なのではないでしょうか。
 
私にとってそれは、いまひとつ物足りないのです。
 
「娯楽映画としては面白いけれど、自分の生き方に影響を及ぼすような奥深さはない」
 
これが宮崎映画に対する、私の率直な感想です。
 
★ ★ ★
 
映画というのは、もともと娯楽なのだから、そこに哲学を求めても仕方が無い。
 
そんな声が聞こえてきそうですが、確かに思索しながら読む小説ではなく、映画は考える間もなく物語が展開するのですから、映像が面白ければそれでいいのかもしれません。
 
しかし映画でも、自分の生き方になんらかの影響を与えるような奥深い作品だって、存在するのです。
 
私にとってそれは、「松本零士」の映画です。
 
『さよなら銀河鉄道999』『わが青春のアルカディア』など、公開当時小学生だった私に、大きな夢や希望を与えてくれました。
 
そこで、『銀河鉄道999』を取り上げて、私なりにその奥深さを述べてみたいと思います。
 
★ ★ ★
 
『銀河鉄道999』の主人公は、星野鉄という少年です。
 
鉄は、見てくれも決して良くなく(映画では少し格好良くなっていますが)、とてもヒーローと呼べるような風貌はしていません。
 
おまけに、ずば抜けた頭脳や、強靱な腕力をもっているわけでもなく、特別秀でた能力などなにもないのです。
 
そんな、どこをとってもパッとしない鉄なのですが、なんと「惑星を破壊」し、生身の人間の犠牲の上に成り立っていた「機械化社会を崩壊させる」なんてことを、やってのけるのです。
 
どこにでもいる平凡な少年が、どうしてそんな大きな事ができてしまうのでしょうか。
 
『銀河鉄道999』は、人間、なかんずく青年が持つ無限の可能性を、鉄の姿を通して、力強く訴えているのではないでしょうか。
 
★ ★ ★
 
大した取り得のない平凡な少年である鉄が、なぜ時代を激変させるような大事を、成し遂げられるのか。
 
それは鉄が、自分が正しいと思うことを信じ抜く「意志の強さ」と、それをどんな時でも貫いていく「勇気」を、持っているからではないでしょうか。
 
鉄は、自分が正しいと信じることなら、相手がどんなに強大な敵であっても、敢然と立ち向かっていきます。
 
たとえそれが、絶対に自分に勝ち目がないとわかっていてもです。
 
鉄に、恐怖心がないのかというと、そうではありません。
 
鉄とて、死ぬことは大きな恐怖であり、自分に勝ち目がないことだって、ちゃんと理解しています。
 
しかし、自分が信じることは絶対に曲げず、己の恐怖心と戦い、勇気で打ち破って、一歩前に踏み出すのです!
 
「自分の弱い心に決して負けない!」
これが鉄の強さであり、人を引きつける最大の魅力なのです。
 
物語では、自分の恐怖心に打ち勝って、強大な敵に挑む鉄の姿にふれ「俺も一緒に戦おう!」と、立ち上がる友の姿が描かれています。
 
時には、銃を向け合った敵でさえ、鉄の純粋な心に触れ、固い友情を結ぶことすらあります。
 
鉄の勇気が磁力となって、どんどん鉄のもとに同志が糾合してくるのです。
 
やがてそれが強大なうねりとなって、とてつもなく大きな「力」を作り出していく。
 
そしてついに、悪の社会を崩壊させるまでの、巨大なパワーに、結実することになるのです!
 
映画『さよなら銀河鉄道999』では、黒騎士と戦う鉄のもと、あのハーロックやエメラルダスが駆けつけてきて、鉄を援護しています。
 
ハーロック、エメラルダスといえば、その名を聞いただけで誰もが震え上がる、宇宙の大海賊です。
 
これほど頼もしく、心強い味方はないでしょう。
 
「自由の旗」を掲げるハーロックなど、自分の信じる者意外には、誰の指図も受けない男です。
 
味方につけようとして、巨額なお金を積んだり、地位や権力を使って従わそうとしても、絶対に応じることはないでしょう。
 
しかし鉄の真っ直ぐな意志と勇気は、ハーロックやエメラルダスの心をも動かし、鉄のために、命を賭して援護をするのです。
 
一人では決して強くない鉄も、彼に味方する者が強く、多ければ、惑星を破壊し、時代を変革することだって、可能となるのです!
 
「人の心は、他人の心に共鳴する」
 
「大いなる勇気は、人の心を糾合し、とてつもない大きな力を生む!」
 
『銀河鉄道999』はこのように、鉄の姿を通して、人間の持つ無限の可能性を訴えているのではないでしょうか。
 
★ ★ ★
 
人はだれでも優しさや、正義を信じる心を持っています。
 
そして、それを行動に移すには、どうしても「勇気」を必要とします。
 
電車でお年寄りの人に座席をゆずるのも勇気、いじめを「やめろ!」と止めるのも勇気です。
 
しかし親切でしたことが、必ずしも正当に報われるとは限りません。
 
電車で席を譲ったために「いい子ぶりやがって!」とののしられ、いじめを止めたがゆえに、今度は自分がいじめの標的とされかねません。
 
正しいことをしても報われず、かえって不幸になってしまう世の中。
 
悲しいことですが、これが現実です。
 
こんな世の中で、正直に生きることが馬鹿馬鹿しいように思っても、仕方がありません。
 
だから、せっかく自分に優しい気持ちがあっても、それを押し込め、封じ込んでしまうのです。
 
しかしそれを繰り返していくと、やがて電車でお年寄りが立っていても何も感じなくなり、いじめの現場を目にしても「自分じゃなくてよかった」と思うような、本当に冷たい人間になってしまいます。
 
こんな人間が、世の中どれだけたくさんいることでしょうか。
 
政治家、官僚、大企業・・・・
まさに自分の清らかな心を押し込め続け、エゴに凝り固まった連中が仕切っているような世界ではないですか。
 
なんと情けなく、冷たい世の中でしょう。
 
★ ★ ★
 
こんな殺伐とした世にあって、『銀河鉄道999』は、今の世に希望のメッセージを送っているのではないでしょうか。
 
「自分が正しいと信じることは、勇気を出してやり通せ!」
 
「信念を貫き通すかぎり、必ず大きな結果がやってくる!」
 
人間が糾合し、団結すれば、時に時代を動かすくらいの潮流となります。
 
そしてその潮流は、一人の不屈の信念と勇気からはじまるのです。
 
そう、宇宙の大海賊をも動かし、生身の人間を犠牲にして成り立つ機械化社会を崩壊させた鉄のようにです!
 
松本零士の作品は、「自分ひとりががんばっても、世の中何も変わらない」という無気力が蔓延する現代に、大きな希望を放ちゆく、名作であると思います。
 
子ども達が見た宮崎映画の『風立ちぬ』の反動で、そんな感慨が熱くわきたった私でした。

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