散歩コースの桜
4月に入ってずいぶん暖かくなり、厚手の大きなジャンパーをしまったとたんに急に寒くなったりと、寒暖の差が激しい日が続きます。
年々気温差が激しくなってきているのか、3月でも20度を超す日がありましたが、そのせいでしょうか、今年の桜の開花は例年より早まりました。
毎年桜が満開になったころに雨が降ったりするので、せっかく咲いた桜がすぐに散ってしまいます。
ですのでここ数年間、花見にでかけたという記憶がありません。
しかし私は、昼食後に昼休みの時間をめいいっぱい使って散歩するのを日課にしており、その散歩コースに桜並木のある河川敷を通ります。
つぼみからだんだんと花を咲かせていく様子を、毎日楽しみにしながら歩くのですが、満開になった時に、「今年は雨で散る前に写真に撮っておこう」と、何枚か撮影しました。
空が曇っていますが、案の定、会社に帰ったとたんに雨が降ってきました。
その後大雨や強風などで、あっという間に桜が散ってしまい、満開の桜を楽しめたのはほんのわずかでした。
それでも人は毎年桜の開花を心待ちにし、桜を愛するのは、それだけ人の心を引きつけるものがあるのでしょう。
「さくらはを(お)もしろき物・木の中よりさきいづ」という言葉を残したのは、日蓮大聖人ですが、黒くてゴツゴツした樹皮から、淡く美しいピンクの花を咲かす自然の妙を表現されたものです。
日蓮大聖人はこの桜を例にとって、みかけがどうであれ、人は誰もが心の内面に、尊貴な生命が具わっていることを教えました。
ではどうすれば人間は、自身の内面の花を、咲かせることができるのでしょうか。
それは、桜が寒い冬を過ごす中で花を咲かせる準備をするように、人生の試練と苦しみを乗り越えていく中で、最極の花を悔いなく咲かせきっていくことができるというのです。
「自分の胸深くには、開花のその時を待つ尊き人生と使命の花が宿っている!」
「そのために、いかなる苦しみにも耐え抜き、絶対に乗り越えてみせよう!!」
そう思いながら桜を見れば、
「大丈夫、あなたも立派な花を咲かせることができますよ!」
と、温かな眼差しでこたえてくれるような気がしてきます。
きっと桜は、今から来年の開花に向けて、戦いを起こしているでしょう。